むかしがたり

シッター 図鑑 コラム ニュース

シッターに伺うとき、普通はその家はお留守です。
しかし、たまにお留守番の方が見える事があります。
それは多くはお年寄り。たまに大きなお子さんが見えるけど、仕事があるから頼むわ、ってこともありますが。

おばあさんの場合が多いのですが、犬が引っ張ったりすると危ないので、
散歩を頼まれます。
そんな時は、やはりおばあさんの様子を見ることも期待されているようです。
自分が行けば、何かあっても最悪半日でわかりますからね。

で、まあ毎日お散歩に行くわけですが、たいがいの場合、かなり雑談に時間を割くことになります。体調の話とか、昔の話を聞かせてもらったり。
時間が許す限り滞在するようにしています。
お年寄りの話を聞くの大好きですし。

今日はそんなこんなで聞いたお話を披露です。
忘れる前に記録をしておきます。

まずは、シッターのときではなく、親戚から聞いたお話。
母のおば(Aさん)で、今は名古屋に住んでいる方です。子供の頃東京に住んでいて、関東大震災に遭ったそうです。そのときの事。

地震の時家にいたAさんは、取るものもとりあえず、近くの空き地に避難したそうです。
子供だったAさんは避難先で、お腹も空いて、喉が渇いたことをお兄さんに訴えたそうです。
このお兄さんが誰だったのかは不明です。商売をしていたのでひょっとしたら従業員だったのかもしれません。肉親でなかったのは確かです。
お兄さんはAさんの家の縁の下に、カルピスが置いてあったことを思い出して取りに行ってくれました。
ところがカルピスの瓶を抱えて戻る途中、群集に囲まれてしまったそうです。
「火をつけたのはお前か!」と。
地震で火事が出たのを、当時は地震にかこつけた朝鮮人が泥棒に入って
火をつけて回ったと考えられていたそうです。
で、瓶の中にはガソリンか何かが入っているんだろうと。
困ったお兄さんが、「これはカルピスです」と訴えるものの、信じてもらえず。
結局、瓶の中のカルピスの原液を一気飲みして証明したそうです。
お兄さんもひどい目に遭ったし、Aさんもカルピスが飲めず。くやしかったそうですよ。
それよりも、地震の直後、近所の人たちがAさんの店?の大八車を勝手に全部持って行ってしまって、自分たちの荷物の避難さえ往生したとの事でした。

本当はもっといろいろ大変だったのでしょうが、Aさんの身近ではこんなドラマが。
自分もこの話を聞いたのは10年どころ前ではないですが、印象的で忘れられません。

次はシッターの時に聞いたお話。

このおばあさんは郡上八幡出身の現在85歳(Bさん)。お転婆と呼ばれており、
当時は女の子がやることではないとされていた、自転車とか乗馬とか、
郡上踊りに繰り出してはお婆さんに怒られていたそうです。
間違えて近所のおばさんに怒られたもしたから、余分に怒られたとかも話していました。

乗馬と聞くとどんなお嬢さん?と思うかも知れませんが、当時、田舎では
農耕用の馬は珍しくなかったそうです。
隣の子が自転車の練習をしていたら、馬につっこんで、取れなくなって困った、
なんて話も聞きました。

そんな時代、自転車は珍しく、ましてや女の子であるBさんは自転車なんて
買ってもらえるわけもなく、お隣にあったカフェの女の子のを借りていたそうです。
カフェの主人も女性で、その方は時代にとらわれない思想だったようですね。

その自転車を借りて、女の子3人で学校の校庭で練習していて、ちょっと目を離した隙に
男子に「生意気だ!」と鍵を取られてしまったことがあったそうで。
往生してみんなでえっちらおっちら担いで帰っていたら、丁度野良仕事から
帰るお百姓さんが事情を聞いて、軽々と担いでくれたとか。

後の戦争中、奉公先では番頭さんも丁稚もみんな戦争に取られてしまって、
男手が無いときに、そうして覚えた自転車がずいぶん重宝がられたそうですよ。
それでもずいぶんいじめられたそうですが。

今回はこれくらいで。長すぎです。
自分は文章力がないので全然うまく伝えられなくてくやしいです。
どうやって書いたらいいんでしょうね。口語の方がいいのかな?

ここでは箇条書きみたいになってしまっていますが、
実際にはみんなとても生き生きと話しています。方言交じりで。
登場人物の名前とか、細かいところまで昨日のことのように覚えていて、
聞いていると情景が眼に浮かびます。
話の内容も本当にNHKの朝ドラみたいです。自分が見ていると、「そんな話あるか」
とかって思いますが、実際にそんな経験をしてきていると、
感情移入の度合いは全然違うんでしょうね。

こんなお話から感じるのは、昔は今よりもずっと世間は狭くて単純で、
みんな一所懸命に生きていたんだなあってこと。

こんなお話、知っていたらぜひ教えてください。

同じカテゴリの記事 むかしがたり

コメント

  1. […] これまただいぶ前ですが、以前書いた話(下の方)の方に聞いた話です。 もうだいぶ忘れてしまって色あせてますが書いておきます。 ご本人ももうだいぶ忘れてきてしまって、もう話 […]