食べさせること

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ふだん、あまりお客さんの犬のことを書かないようにしています。
でも、今回は珍しくお客さんの犬のことです。写真の子ですが、名前は「ぴっち」。
介護が必要だったおばあちゃんです。

この子の飼い主さんから連絡を受けたのは、たしか9月18日のこと。
夕方のお散歩中に電話があって、「明日お願いしたいのですが」と。
急ではありましたが、まあそんなに遠くもありませんでしたし。
引き受けることにしてすぐ打ち合わせに向かいました。

そして行ってみると、まず聞かされたのが足が不自由だ、と言うこと。
でもまあ少しは歩けるんだろうと思いつつ犬のところへ行くと。
全然それどころではありませんでした。
老犬で、寝たきり。詳しく聞いてみると、その前の週から急に歩けなくなって、
土曜から何も食べていない、と。

正直まずいなあと思いました。食べていないと言うのが。
今にも命の火が消えてしまいそうです。
飼い主さんもそう思っているらしく、19日にどうしても朝から夜まで
お出かけになるのでその間に死んでしまうのが気の毒で頼んできたようです。
正直、死を見取るのは自分の犬だけにしておきたいというのが本音ですが、
放っておく訳にもいかないので、引き受けました。
できる限りのことはしようと。

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一番大事なのは食べさせること。体力がなくなってしまいますので。
で、聞いてみると、与えようとしていたものはドライフード、ヨーグルト、
そしてササミ状に着色したガム。
これはちょっと食べにくいだろうなあと思い、本物のササミを茹でたものをほぐして、
お粥に混ぜたものを与えてみるようにお願いして、その日は引き上げました。
食べやすくて、栄養があるものが大事ですので。
フードは食べにくいですし、ヨーグルトは栄養が全然足りません。
オヤツは消化も悪いですし、なにが入っているかわかりません。

そして翌朝うかがうと、少し食べたとのこと。少し安心。
でも危ないことに代わりは無いので、用意しておいた豚のレバーを
少し与えたところ、それも少し食べました。
まだ食べる体力はあるわけですから。

これなら持ち直すかも…と希望を持ち、朝、昼、夕と排尿、寝返りのお世話です。
あわせて、目やにでくっついてしまっていた目をホウ酸水で洗い、耳の奥がパリパリに
固まっていたので、徐々に洗浄してほぐしておきました。
ゴハンもケアも、体に負担のない範囲で少しずつですが。
そうして一日をなんとか無事に乗り切ったのですが、その様子を見た飼い主さんが、
今度は一週間世話を欲しいと申し出てきました。
少し迷いましたが引き受け、ケアをしていくことになりました。

毎日3回うかがって、作業としては抱っこしてトイレに連れて行って排尿、数日後からは排便。
水を飲ませて、そして床ずれしないように寝返り。
あと、食べるようでしたら食べ物を。砂肝をペーストにして与えたり、少しずつ
量を増やし、カロリーも上げて与えていくようにしました。
そんなこんなで ぴっちは熱を出したりしつつも小康状態で、
週末のたびに延長でお世話を続けていくことになりました。
少しずつ元気にはなっていっていましたけどね。目やにも無くなって、
目ははっきり見えるようになったようですし、首が動くようになったり。
トイレに行っても立っていられる時間が長くなっていきましたし。
日常の生活パターンを守ってあげたのもよかったかもしれません。

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そんなこんなでお世話を開始してから3週間の10月10日、
ついに歩くことが出来るようになりました。
立つのは無理ですが、立たせてあげると何歩かよろよろと。
それからまた一週間で立ち上がることができるようになり、
自分でトイレにも行くことができるようになりました。
今ではお散歩にも行っています。

ほとんど元気だった頃に戻った、と言ってもいいかと思います。階段はまだ下りられませんが。上れます。
犬の回復力はすごいなあと思います。本人は絶対あきらめませんからね。
何事もなかったかのような回復振りです。

正直、最初から手を出さないほうがよかったのではないか?と思ったことも度々です。
あのまま自分が口を出さなければ、きっとゴハンを食べないまま2、3日で死んでいたことでしょう。
それを中途半端にゴハンを食べさせることで、本人も飼い主も長く苦しむことになったのでは
ないか?と。
夜間の世話は飼い主さんがするわけですが、犬の体重は約20キロ。
自分も毎日抱っこしていると腰が痛くなりましたが、若くはない飼い主さんにはかなりの苦痛だったと思います。
夜中になにかあると吠えて呼ぶため、夜中に起こされることも度々だったそうですし。
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でも、あきらめずにいてよかったな、と今では思います。
ぴっちが諦めなくても、人が諦めては回復への道は無かったことでしょうから。
無理はしないことが大事ですね。犬の様子を見ながら、少しずつ。

自分で動けるようになった今、自分がやってあげられることはほとんどありません。
お別れする日も近いことでしょう。
収入的にはもちろん継続していただいたほうがとっても助かりますが、
無駄なことは嫌いな性質ですので。必要ないですからね。

これからも出来る限り元気でいてもらいたいです。

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